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現代養生訓
本然一体

「秋の養生法」



 暦の上で立秋をすぎると、空にはイワシ雲やさば雲などが顔をみせ、赤とんぼの群れを多く見かけると、秋の気配を感じることができます。健康面から見ても残暑も緩やかになり、夏の疲れた胃腸を回復させ、空気も清澄で睡眠しやすく、「食欲の秋」と言うのも体が自然に元気を求めている最良の時期なのでしょう。
 ただ初秋は朝晩の冷えが強くなり、夏場は暑く表皮が開いて、皮膚呼吸や老廃物、水分の代謝が盛んに行なわれやすくなっていますが、秋口は冷たさで表皮は閉じ、その分鼻や気管に直接負担がかかりやすく、咳や鼻炎の症状がでやすくなります。そして、9月に入ると冷たい秋風も多く吹き始め天気が安定してくると、日本列島は乾燥の時期に移り変ってきます。この乾燥した空気が、咽喉や鼻粘膜、さらには肺を傷つけ風邪を引きやすくなったり、喘息・扁桃腺炎を引き起こす原因ともなります。
 また、夏の暑い陽気をたくさん浴びて体内で発散できないでいると、余分な熱が胸に留まり肺が乾燥しやすくなります。昔から秋に運動会があったり、「スポーツの秋」と呼ばれるのも、この余分な熱を飛ばし発散させる大切なことなのです。
 東洋医学の治療法則から見て、初秋の冷えと乾燥は肺に大きなダメージを与えます。これから特に朝晩の温度が下がった時にベストを1枚着たり、タートルネックを着て頚部を冷さないように工夫したり、マスクなどをして乾燥を防ぐのも効果的です。


秋の食養生について @


効能
果物
ナシ、ビワ、カキ、リンゴ、ブドウ 肺を潤し、痰を除く。
熱を抑え、のどの渇きも防ぐ。
野菜
小松菜、チンゲン菜、ネギ、大根、
ニラ、タマネギ
のどの痛み、呼吸困難を抑える。
豆類
ギンナン、アンズの種 肺の働きを高め、咳、頻尿を止める。
水分代謝をよくして、むくみにも良い。
その他
コショウ、ショウガ、唐辛子 ピリッとした香辛料は発散の力で肺の
働きを高めます。
 ※木の実は咳・痰・喘息の症状に効果的です。