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現代養生訓
本然一体

「病気の原因(精神的作用-1)」



 立春が過ぎると、いよいよ自然界は本格的な春を迎えようとしています。すべての物が伸びやかに成長していき、我々人間にとっても同じ事が言えます。身体の成長はもちろんのこと、精神活動においても大切な時期です。
 中医学では、外から身体に進入するウイルスや病原体の事を外因、心の不安や精神的な乱れなど、身体の内側から来る病を内因と呼んでいます。精神活動において、怒る、淋しい、思い悩む、怖がるなどの作用や不安が長く続くと、それに関係します臓に何らかな反応が起こります。そして関係します臓腑が正しく作用しなくなり病気になっていきます。
 例えば、会社において重要なプロジェクトを任せられ、思い悩み続け胃潰瘍になったり、身内の事故や不幸により、心配事が重なり食欲をなくされたり、会社内部での人間関係でイライラし、ストレスがたまり寝不足や肩こりを経験された方は、多いのではないでしょうか。特にこの時期は、冬の養生法でも書きましたが、冬に活動しすぎて、春に使うエネルギーを身体の内部に貯えることができていないと、怒りっぽくなったり、イライラ、ストレスがたまり、気鬱症や精神的不安などを訴える人が多くなってきます。これらの内因的作用から、中医学の世界で最も影響を及ぼす臓府が「肝」です。
 現代医学の肝臓の作用とは少し違いますが、肝は中枢神経、運動、血液循環系を含めた働きを司ります。これらの作用からも動かすエネルギーが不足し、血も停滞しはじめ、気が付かない間に上記の精神的症状が重なり、筋肉の引きつれ、メニエル症、後頚部の痛み、頭痛、目の症状などを多く訴えるのです。
 これらの「肝」の作用を修復してくれるのが、酸っぱい食べ物(酸味)です。酸味はほどよく肝に働きかけ疲れた身体を助けてくれます。ただし、生の酢を飲んだり、大量に摂取しすぎると、逆に疲れやすくなるので注意してください。



○中医学的春の養生食○
  酸味・麦・すもも・とり肉・にら・カボス・スダチ