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現代養生訓
本然一体

「食物の五味を知る」



 食物の「五味」・「食性」と言う言葉を聞くと、それだけで難しいと思われそうですが、皆さんも感覚的に知っている事がたくさんあります。
例えば、夏の炎天下の中では、体がほてり汗もたくさんかき、当然体液は消耗します。そのときトマトやキュウリ、緑豆などを知らずに補っています。この食物を五味に分類しますと「甘(あまい)」に分けられ、この性質は中医学では補ったり、滋養作用があると言われています。さらに食性に分類すると「寒・涼性」に分けられ、性質は水分を補い体を冷し体温を下げる作用になります。また寒いと辛いものを食べたくなるのは、五味に分類しますと「辛(からい)」に分類され、発汗作用があり体を温める作用があります。このように日常生活でも、知らないうちに皆さんも実践している事が多く、この誰にでもできる伝統食の考えを養生に取り入れ、健康増進に役立ててもらいたいのです。
さて五味には、酸(すっぱい)・苦い(にがい)・甘(あまい)・辛(からい)・鹹(しおからい)に分類する事ができ、それぞれ人体に(器官)対して次のような効能があります。(下記表参照)
そして表の食品例に、温・平・寒と簡単に分類しましたが、(温)は体に入ると温めるもの、(平)は温めも冷しもしないもの(寒)は体を冷すものの性質があります。
日本人の主食である米は、甘いに分類され食性も「平」です。つまり温めも冷しもしない性質があり、胃腸を養う作用(滋養強壮)があるのです。
昔から東洋人が何百年も摂りつづけても害がない理想な食物である事を経験から知っていたのでしょう。




       酸(すっぱい)    苦(にがい)     甘(あまい)      辛(からい)     鹹(しおからい)
効能 肝に働きかけ養う
過剰になって
いる汗など
漏れを防ぐ。
摂取しすぎる
と逆に汗や
尿がでにくく
なります。

心に働きかけ養う
体内のほてり
を冷まし興奮
を鎮める。
食べ過ぎる
と体が冷え、
乾燥します。

脾胃に働き
かけ養う
滋養強壮の
作用がある。
食べ過ぎると
体が弛み、
しまりがなく
なり肥る。

肺に働きかけ養う
血流を促進し
体を温める。
食べ過ぎると
発散しすぎ、
体液や陽気
を失います。

腎に働きかけ養う
体液を潤し
便秘に良い。
食べ過ぎると
血を汚し血行
が悪くなる。

効果  収斂、収縮

縮める・収める
止める・止汗


下降、乾燥

おろす・下げる
鎮める


滋養

補う・緩める
延ばす

発散、推動

温める・上げる
発散


下降

降ろす・消腫
固まりを軟化させる


関連
器官
肝・胆・眼・爪
筋(靭帯、腱)
心・小腸・血管 脾・胃
肌肉(筋肉)
肺・大腸・皮膚 腎・膀胱
脳・骨
有効
症状
イライラ・怒りぽい
爪がもろくなる
筋肉がつりやすい
目の疲れ

動悸・息切れ・不眠
不整脈・不安・冷汗
言語障害
疲れやすい
だるい・食欲不振
軟便・むくみ
咳や痰が多い
喘息
アレルギー
喉・鼻が弱い
風邪をひきやすい
精力減退・腰痛
足腰がだるい
夜間頻尿
骨粗しょう症
歯が弱い
食性

食品
(温)杏・あんず
りんご・ゆず・酢
(平)梅
(寒)レモン
グレープフルーツ
(温)ふき・よもぎ
(平)びわ・春菊
ぎんなん
(寒)お茶・ビール
にがうり・ごぼう
(温)えび・羊・
牛・なつめ
かぼちゃ
(平)米・ハチミツ
鶏卵・大豆
(寒)小麦・砂糖
トマト・白菜
豆腐
レタス・梨
(温)ネギ・生姜
大根・にら
にんにく
らっきょう
酒・焼酎・
(平)さといも
(温)納豆・味噌
いわし
(平)わかめ
ひじき・醤油
(寒)のり
もずく・塩
昆布・かに