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現代養生訓
本然一体

「春の養生法」



 春は、冬の間じっと寒さに耐えていた多くの万物が芽を出して活動を始め、人間にとっても陽気が多くなり元気が出てくる季節でもあります。
 外の気温もぐんぐん上昇し、着ていた洋服も薄くなり、動きやすくなっていきます。ですから春の陽気に従って行動する事は体にも良く、逆に動かないで静かにしていますと、陽気を体の中に沈めてしまい、病気になる原因を作ってしまいます。このままですと夏になっても汗が出ませんし、冷え症の状態にもなってしまいます。立春を過ぎましたら少しずつ軽い運動をして、体内に陽気を造るように心がけてください。
 また、これらの働きを補助しています臓腑が「肝」です。肝の重要な作用は血の貯えです。いくら活動したくても、肝の血が不足していればすぐに疲れたり、筋肉・腱などの動きが悪くなる症状が出たり、足が引きつれたり、背中や頚部の凝りなどが激しくもなってきます。夜にこむらがえりを起こす人は、急性に起きた一過性の血の不足ですし、度々起きる人は軽い貧血症状で、血液の流れが悪くなっていることも考えられます。当然身体の抹端であります目などにも異常感を訴えますし、イライラ・頭痛も多く出てきます。
 そこで肝の作用には、適度な酸味がよく働いてくれます。よくお酒を飲むときに、酸味のものを一緒に食べると肝臓の解毒作用を助けますし、遠足のおにぎりに梅干を入れるのは、腐敗防止だけではなく、疲れを取る作用がある事を、昔の人は身体で知っていたのだと思います。
 ただし、酸味には収れん作用がありますので、食べすぎには注意してください。
 特にスポーツ選手などが多食しますと、筋が硬直しやすく、けがのもとにもなりますので気をつけてください。
 一日においては、朝が重要な時間帯です。冬よりも少し早く起きて身体を動かしてみてはいかがですか。