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現代養生訓
本然一体

「呼吸法」



 このコーナーのタイトルでもあります「本然一体」とは、「人間が大自然と一体化する」という意味ですが、いまさら何を言い出すのか、と思うかもしれません。しかし、今回の呼吸法についてお話する前に、人間と自然の関係について考えていただきたいのです。
 人間はもともと大自然の産物です。ところがいま、私たちは遺伝子組み換え食品、添加物、化学薬品など人工物に取り囲まれ、健康を害しています。心と体を健康に導くには、体を自然の状態に戻す必要があるのです。
 そのために最も大切なのが、自然の恵みである酸素を体内に正しく取り入れる呼吸法なのです。
 なぜ呼吸法が大切なのか。機能面と精神面からお話しましょう。
 まず、機能面ですが、呼吸は体内の二酸化炭素と空気中の酸素のガス交換作業です。大量の空気を吸い、吐くことで、この交換はより多く行われます。そして血液中にはたっぷりと酸素が含まれているわけです。この血液はやがて脳に送り込まれます。
 ところで、私たちが体験します多くの病気の原因は、具体的には「脳の働きの低下」と考えています。たとえば消化不良。脳内の胃腸の司る部分が故障して、「食べ物を消化しろ」「排泄しろ」といった命令が正確に伝わらないために起ります。やはりその治療には、内臓そのものの治療と同時に脳も正常化しなければなりません。
 そこで必要なのが、酸素を十分に含んだ血液なのです。きれいな血液を脳に送ることで弱った脳の機能を活性化し、体の抹消部分も正常に活動し始めます。
次に精神面から呼吸を考えてみましょう。
 仕事で大失敗したり、大事な試合前や発表会など、いまさら取り返しのつかない事、引き返す事はできない時・・・そんなとき、あなたの呼吸は浅く、速くなっていませんか?精神状態と呼吸は、2つの歯車のように連動しているのです。
 呼吸法はこれを逆に利用します。つまり呼吸を整えることで心を安らかな状態に導くのです。
 呼吸は自律神経が司ります。この自律神経はストレスにも関係しています。呼吸を正すことで自律神経も整い、ストレスも軽減され、落ちついた気持ちになります。
 このように正し呼吸法は、心身ともに健康に導いてくれます。私たちの健康は、医学だけでは守る事ができません。大自然から酸素という恩恵を受け、自然の中で生かされていることを忘れてはならないのです。
 「本然一体」の心を持ちつつ、今日から始めてみてください。


(準備)

@脚を組んで座る。
尻の下にタオル、座布団など、柔らかいものを敷く。
片足を反対の脚のももに乗せる。(あぐらでもよい)
右の手のひらの上に左手のひらを乗せ、お腹の前で軽く
親指を合わせる。
(写真A参照)

A尻を後ろに突き出し、背骨を伸ばす。(写真A-2)
この時に鼻とへそを一直線にする。
注意
B上半身が反り返らないように肩を少しだけ前に出す。
C舌先を上あごの歯の付け根につける。



(呼吸)

@胸いっぱいに息を吸う。その後お腹を膨らませるように
して空気を入れる。(写真B)
初めはお腹に力が入ってもよい。
Aそのまま2〜3秒息を止める。
B「フーッ」というつもりで、声は出さず、できる限り長く
細く息を吐く。
C全部吐ききったら、自然と再度息を吸う。
D1日6回前後行なうといいでしょう。

※足の不自由な方、マヒなどであぐらが難しい方は
椅子に座ったり(写真C)、横になって行なってください。