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資料館







食物繊維
  
  
 食物中の繊維質は、人間の体内では消化できず、体の構成成分やエネルギー源にならないで、そのまま排出されるために、これまでの栄養学では、役に立たないものとして、軽んじられてきましたが、近年色々な効果が明らかになり、一躍脚光を浴びてきました。
もともと、食物繊維は植物の構成成分であるセルローズ、リグニン等を指していましたが、研究が進むにつれて現在では「小腸まで消化されずに大腸に到る食物成分」を食物繊維とようでおり、植物細胞に含まれるペクチン、ガム、粘着物などの水溶性のものや、甲殻類からえられるキチン、キトザン等も含むことになりましたが、これらはすべて高分子化合物です。
これらの食物繊維は、消化されずに大腸に送られますが、その膨潤保水性、イオン交換性、ゲル形成能、吸着能等の物理化学的な性質によって、ほかの栄養素などの食物成分の消化や吸収に影響を与え、また一部は大腸内の微生物の酵素によって分解され、脂肪酸やガスになることが判り、次のような効果が認められています。

1、コレステロールや胆汁酸、脂肪などを吸着し、これらの吸収を抑制し排泄するので、高血圧症や動脈硬化の予防、治療に役立っています。

2、重金属や食物添加物などの有害成分を吸着、排泄してその影響を軽減します。

3、食物繊維は、ほとんど消化吸収されないで排泄されますが、水分を吸収して、大きく膨張しますので、胃袋の中で嵩張り、カロリーのない食物繊維によって大きなスペースが占められ、結果的にブドウ糖などの栄養素の濃度がうすめられるため、カロリー少なめで満腹感がえられますので、血糖値の正常化やダイエットの効果などが期待されます。

4、すべての食物繊維は小腸までは、消化されずに運ばれますが、大腸に入ると、水溶性植物繊維の一部は、腸内細菌によって酢酸、プロプオン酸、酪酸、メタン、水素、炭酸ガス等に分解されます。

これらの炭素数の少ない有機酸によって腸内のPHが弱酸性になり、腸内の腐敗がおこりにくい、悪い細菌が繁殖しにくい環境による攻撃のチャンスを少なくしますので、大腸がんなどの発生を抑制します。
成人病や肥満に効果のある水溶性食物繊維は、海藻、果物、こんにゃくなどに多く含まれ便秘予防に効果のある水に溶けない食物繊維は、芋、豆、などの穀物類、豆類に多く含まれます。
日本人の食物繊維摂取量は、1960年に1日平均22gであったが1985年には17.3gとなっています。研究の歴史が浅いために1日の必要量は確定していませんが、少なくとも20gは必要と考えられています。


           

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